2020年1月19日
ならいごとの旅 in 台湾(13)客家の保存食とオレンジソースの作り方
客家(はっか)とは?
多民族の島台湾には、「本省人」と呼ばれる日本統治時代以前(16世紀くらい)から台湾に移り住んだ渡来人と、戦後、国共内戦で破れた国民党に伴って移り住んだ「外省人」、それからマライポリネシア系の原住民が暮らしています。
「本省人」の多くは、「台語」と呼ばれる福建省の南部、閩南語を話す人たちで、約75%を占めます。客家も「本省人」にカウントされますが、12%と、福建にルーツを持つ人たちに比べるとかなり少数です。外省人は10%前後で、「国語」とか「中文」と呼ばれる標準語を話します(大陸では、普通語とか北京語とか呼ばれている言葉とほぼ似てます。が、一緒にすると怒られますw)。原住民は1.5%ほどですが、これがまた分類によって10〜17民族と多様な文化が九州ほどの島に根付いていることになります。
客家は元々は大陸の中原に住んでいた部族で、戦争で領土を追われ、広州に多く住んでいましたが、いまでは全世界に散らばっています。移住先でも独特の言葉と文化を保持し続けたので、「客人」と呼ばれているそうです。同じ渡来人でも、閩南人と客家は仲が悪いらしく、一緒になると喧嘩するので、客家の人たちは新竹とか苗栗あたりにまとまって住んでいるとか。
台湾の薬膳の先生に「客家ってどんな民族?台湾では少数民族的な存在でしょうか?」と尋ねると、「うーん、少数民族っていうか、関西人みたいな感じかな」との妙答。
あるエリアに住んでいる&倹約家でもったいない精神からいろんなものをとっとくのだそう。いつでも移動できるように、将来の難に備え、あらゆるものを保存してしまうという興味深い客家の食文化。お漬物、干し柿などの乾物に加え、客家独特の発酵、紅麹をつかった紅麹糟や、柑橘醤など、醤類(ソース)がとにかく豊富です。
前回ならいごとの旅の記事:
ならいごとの旅 in 台湾(8)客家の植物民俗と保存食の知恵
ならいごとの旅 in 台湾(8)客家の植物民俗と保存食の知恵
客家の保存食紹介
(1)客家金桔醬
「金桔」「甜桔」「砂糖桔」ともよばれる柑橘で作った客家特製ソース。塩と唐辛子を加えるので、甘辛くて酸っぱい。エビチリソースに似た感じです。黒豆醤油と混ぜて、水餃子や蒸した鶏肉につけて食べると美味しい。![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/17892089/picture_pc_2290614601b3849debfb3434246de8e6.jpg)
<作り方>
金桔 1800g
細砂糖 600g
塩 大匙1
酒 大匙3
唐辛子 2房
1. 金桔を洗って乾かしてヘタを取る。
2. 金桔の皮を10分ほど鍋で煮て2−3時間冷水に晒し、渋みを抜く。
3. 果肉と皮、唐辛子をミキサーにかけ、裏ごしする。鍋に入れて、砂糖と酒、塩を加えてドロドロになるまで煮る。
4. 冷めてから瓶に詰める。保存期間:3ヶ月。要冷蔵。
(2)梅干菜
梅干しではなく、白菜やからし菜など、アブラナ科の菜っ葉類のお漬物のこと。なんというか、「都こんぶ」の匂いが漂います。![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/17891723/picture_pc_25e2448d59015ff70dd1512a30c8c850.jpg)
![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/17891725/picture_pc_f60c923597269208406d118d53e8316e.jpg)
漬物の多様性の違いはこちらのサイトがすごくわかりやすいです。深い。
からし菜で作る酸菜、鹹菜、福菜、梅干菜とは?, Taiwan Today台湾の農民たちは、秋の稲刈りから春の田植えまでの期間を利用し、農地で野菜を栽培する。生長が早く旧正月期間に収穫できるからしjp.taiwantoday.tw
(3)45年もののたくあん?!菜脯
菜脯は干した大根を塩漬けにした台湾版たくあん。日本と違って輪切りではなく、短い短冊切りで、ウコン入れず塩のみでつけるので、色はブラウン。![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/17932021/picture_pc_01a2487eae964eec78c6424a88c851b3.jpg)
それを20年以上たつと、真っ黒に変色して、なんとも言えない都こんぶの匂いが漂ってきます。20年もの以上のものが喉の薬としても使われているのだとか。
![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/17935381/picture_pc_6f168e7efaeb2fd016f5e9dd5c0d8f60.jpg)
「コップいっぱいのお湯に数粒の菜脯を混ぜて、そのまま飲むと喉の薬に。出汁として、鶏肉を煮るときに使ったり、水餃子のタレに混ぜたりしても美味しい。20年経たないと黒くならないが、着色してる可能性もあるから、この匂いをよく覚えておくように!」と、お店のおばちゃんが、蓋を開けて匂いを嗅がせてくれました。
45年前・・・。自分が生まれる前の頃。おばちゃんが子供の頃、お母さんがつけられたという漬物をいただきました。何とも感慨深いです。
![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/17933193/picture_pc_35f07fa9c6d2ffa6d2fdb10ea0a83606.jpg)
100年前からこの漬物をつけるために受け継がれてきたという甕。(張り紙「わたしはゴミ箱じゃなくて傘置きです」)
![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/17933228/picture_pc_f8be9388dab15d2a54536df99b38cdbb.jpg)
早速お湯でといて食べてみると、たくあんの歯ごたえがすっかりなくなり、とろとろに分解した豆豉のような風味と食感がしました。
(4)その他保存食のいろいろ
紅麹糟。紅麹で発酵したご飯。肉のソースに使われる客家特製の保存食。![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/17933479/picture_pc_75046477707b3c612e68e83d99066e33.jpg)
ずらりと並ぶ保存食
![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/17933535/picture_pc_8d36fde18f1f49a4825ef83055f1f108.jpg)
めんま
![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/17933549/picture_pc_63f082b885814e676df78645ce9c51dc.jpg)
腐乳、パイナップル入り腐乳、豆と米麹or紅麹の腐乳、豆と米麹を発酵させたタレ。などなど。客家の文化はタレが豊富。
![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/17935346/picture_pc_5ddd613a54ad7cef2c3bcc1086528afb.jpg)
山蘇(Asplenium antiquum)。保存食というか、山菜。炒めて食べるそう。
沖縄でシマワタリ、
![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/17935547/picture_pc_c49a7e5cc6b0e3f3f688294c3f4e753d.jpg)
今回、いろんな食材を仕入れてきました。使ってみるのが楽しみです。
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