2014年9月28日

美山で4日間の土壌分析のトレーニング

0 件のコメント :
大正時代から100年以上の歴史を持つ大野演習林(京都府美山町)で開催された
4日間の「ペドロジスト・トレーニング」に参加してきました。


以前、土の名前と土壌民俗学について記事を書きましたが、


土壌学を学ぶ研究分野としては大きく2つあって、

「ペドロジー」:土壌組成因子から土壌を分析する
「エダフォロジー」:農業倍土としての観点から土壌養分や肥沃度などを分析する 

土壌そのものの組成を調べるのが目的の場合と、
林業や農業に活かすための素材として土を見る場合と、
調べるポイントが違うのですね。





地形、歴史的変遷、土壌の層位、組成、コンシステンス、アロフェンテスト。
いろんな地点で情報収集し、なぜそういう結果になるのか、夜も集まって分析結果を議論します。
巡検といって、土壌学者たちが集まって各地のいろんなタイプの土壌を分析して回るトレーニングがあるのだそうです。今回初参加でしたが面白いです!海外からも参加者があり、フランスでの農場診断プログラムを思い出します。

菌が専門の人や、土壌肥料専門の人、林業関係の人、いろんな専門分野の人がいて、それぞれ見るポイントが違うのが面白かったです。



それにしても、4日間、ひたすら森で穴掘りです。
森の中で食べるカレーがうまい!




そして、やはり、午後からも穴掘り・・・。




林野庁の技師さんの指導により、土壌断面の作成と分析。
3地点の断面をとり、ヒノキ、スギ、アカマツなど植生の違いや、標高差(尾根と麓)が土壌に与える影響を比較しました。


<指標植物>
リョウメンシダ、ジュウモンジシダが生える →湿性、スギの生長が良い
ウラジロ、コシダ →乾性、山火事注意

尾根の特徴:乾性、砂壌土、塩基容脱
谷筋の特徴:湿気、杉の育ちが良い 




「土は掘るのではなく、切る。」
林業技師の職人技。
七つ道具には、ペティナイフに出刃包丁、刺身包丁まで出てくる。
土の断面を美しく見せるために、刺身を切るように、「土を切る」のです。

まるでお料理です。スコップで掘るもんじゃないんですね。
そして根切ハサミに竹串、フェノール・フタレイン。
山以外でポケットに入ってたらちょっと変な人だなあ・・・



それにしても、普段は農業用地の数値になれていると、やはり、林地はPHが低い!
「森林は自らを培養す」というけれど・・・
樹木は土壌の化学性に鈍感で、pH低くても、アルミが多くても育つ。
肥料なしで木が育つなら、作物も自然農で・・・という理論。
農作物はそうはいかない。

ブルーベリーや、お茶、果樹はそれでよいかもしれない。
やはり、その作物が辿ってきた原産地の気候や土壌を
それぞれ個別に見ていく必要があるのだなあと思う。


ペドロジスト・トレーニング(ペドトレ)について


 ==============================
関連記事

ホームガーデンに見る植物民俗学(2)五木村の多様な焼畑のカタチと伝統的知識
ホームガーデンに見る植物民俗学(1)五木の赤大根を探しに熊本へ
民族植物学(3)天然の植物マニキュア
民族植物学(2)伊根に伝わる聖地青島の妙薬
民族植物学(1)貧しい家は娘を百姓に嫁がせた

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 田舎暮らしへにほんブログ村 ライフスタイルブログ 半農生活へ



0 件のコメント :

コメントを投稿