2013年2月15日

ダイコンのたねとりまとめ

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春まきか秋まきか? 

ダイコンのたねとりは、秋まきと春まきがあります。
通常は、秋にまいて、冬越しさせて、春に抽だいさせるパターンと、春にまいて夏になる前に種取りを終わらせるパターンがあります。
今年の冬は温かいので、秋にまいたお野菜は、もうすでに花芽分化しているものが多いですね。


さて、ダイコンは長日植物なので、花芽分化に必要なのは、
①12度以下の連続した低温(15日~20日)
②10~11時間以上の日長

これがあえば、春にまいても、秋にまいてもどちらでも種は取れることになります。


大根のは種適期(そ菜種子生産研究会編『野菜の採種技術』)

            春まき       秋まき
関東以南    2月末~3月10日  10月25日~11月10日
関東地方    3月10日~20日   10月15日~25日
東北地方    4月10日~20日   



東北では、春まき採種が一般的のようですが、関東以南では、春にまくと採種時期が夏の高温期にあたるので、できるだけ早くまいて、短期間で成長させないといけません。成長が遅れると種は小粒になってしまうのだそうです。なので、普通の大根の栽培よりも、種取り用には、早めにまいておきます。

春まきは短期間で種が採れるというメリットがある反面、虫や雑草が増えてくる時期なので、 無農薬でやろうとするならば、秋まきの方がやりやすいかもしれません。


そのほか、春まきでいくか、秋まきでいくかは品種の違いも考慮に入れないといけません。
秋まき用品種は、寒害を受けないように根の水分が少なく固くしまり、でんぷん含量が多くなっています。
ふつうの大根は9月頃まきますが、たねとり用の大根は遅めにまきます。早くまくと、大きくそだった大根は、耐寒・耐病性が落ち、腐りやすくなってしまうのだそう。


種子春化型と緑植物春化型

花芽形成には、発芽してすぐ低温を感知して花芽形成する「種子春化型」と、ある程度成長してからでないと感知しない「緑植物春化型」があります。

種子春化型 ・・・・・・・ダイコン、カブ、ハクサイ、ミズナ(非結球アブラナ科)、エンドウ、ソラマメ
緑植物春化型 ・・・・・キャベツ、ブロッコリー、セルリー、ニンジン、ネギ、タマネギ、ゴボウ

面白いことに、一般的な本には、どうやって春化を抑えるか、が書かれています(そりゃそうか・・・)。脱春化といって、昼間に20度以上の高温にすることで、夜間低温にあっても打ち消すことができるようです。

種を早く取りたいときは、むしろ、結球させずに切り目をいれて抽だいさせやすくしたり、春化したりするわけです。一般には好まれないので、早くトウ立ちさせたい人のための解説はあまり書かれてませんね。

というわけで、種子春化型は、春になってから種をまいても種はとれるけど、緑植物春化型は一定の大きさまで育ててから低温が続かないといけないので春まきのたねとりは厳しそうです。


母本選抜は秋か春か?

母本選抜・定植(全部ぬきとって、根部を確認し、約20株を選んで別の場所に植えなおすこと)は、秋にやってしまうパターンと、春先の温かくなってきた頃に移すパターンがあります。
秋までに圃場が準備できていない場合は、春になってから移します。植え替えたあとは、根が新しい土地になじむまでに時間がかかるので、まだ寒いうちにやってしまうと、弱ってしまうことも。地温が上がってからがいいです。



品種の違いによる育て方

自家不和合性の大根は、その土地の状態によって多様な形態をもち、100種類以上の地大根があるといわれています。
ほんとは、上の子、葉が立性で、冬越し向きではないんですよね。
下の子は、ロゼット型で沈み系。葉に毛が生えていて、冬越しするためにちゃんと備えてる。
立性の葉は、雪の下でつぶれてましたが、ロゼットの葉っぱはちゃんと形が残ってました。

株間を決める時も、立葉系の大根は狭くしても大丈夫。むしろ、幅が狭い方が、寄って立つ。
地面にむかって広がるタイプの子は、早くから一本立ちさせておく。
この子はどう育ちたいのかな~と考えながら畑で会話する時間が楽しいですね。


立性葉
ロゼット型



<参考文献>
そ菜種子生産研究会編「野菜の採種技術」誠文堂新光社 1978年
船越建明「野菜の種はこうして採ろう」創森社 2008年
中川原敏雄・石渡薫「自家採種入門」農文協 2009年

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