2014年6月27日

農ある暮らしを訪ねる旅(5)天空集落で受け継がれる「タネ採り文化」

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東祖谷落合集落

淡路島を渡り、四国に入ると、急峻な山の中腹に村が点在する「高地性集落」が広がっていました。

見晴らしの良い山の斜面にパッチワークのように畑と民家が織りなす美しい光景は、まるでブータンとそっくりです。

ブータンの農的暮らしを訪ねる連載記事でも紹介したのですが、この集落パターンは、ネパールや台湾のタカサゴ族、シッキム、ラオスの高地民の集落に共通するようです。



前回記事:
ブータンの山村集落をたずねて・・・(3)照葉樹林文化とブータンの農耕

祖谷渓の山腹に点在する集落

ブータン Samdrup Jonkhar地区 Orong村にて撮影

「子どもが5人、孫が5人、ひ孫が2人。
自分の分だけやと、袋1つ分で十分なんやけど、食べてもらうために作っとるん。
ここで採れた玉ねぎは甘くておいしいサラダになるよ。」

82歳になるおばあちゃんが畑を案内してくれました。
紫のと黄色のは一緒に植えて、一緒にしばって保存されています。





斜面の奥の方は果樹畑。
栗、リンゴ、すだち、梅・・・

そして木の下には、フキが生えている。
山から移植してきたものが、いつの間にか広がり、フキ園になったのだそうです。

日陰の方が甘くておいしいお茶の木とこんにゃく、サンショウ。
お茶の産地に必ずあると言われるこんにゃくですが、やっぱりありました!


焼畑、お茶、こんにゃく・・・
以前にもこちらの記事に書きましたが、平家落人伝説の残る集落に共通する作物形態です。

前回記事:
ホームガーデンに見る植物民俗学(1)五木の赤大根を探しに熊本へ
ホームガーデンに見る植物民俗学(2)五木村の多様な焼畑のカタチと伝統的知識

その手前がじゃがいも畑。

とれた梅で仕込むウメボシに欠かせない赤シソの葉は勝手に生える。

そして、道に面した手前の空間は、豆、ナス、トウモロコシ、菜っ葉類が植わっています。
比較的手のかからない作物が斜面の奥、そして手前にくるほど、常時作業が必要な作物になっています。


トウモロコシは、焼いて食べるスイートコーンと、赤いもちとうもろこしの2種類。




「カキマメ」と呼ばれるマメが植えられているのですが、面白いことに、蔓なし、蔓あり、早生、晩生など、収穫時期がばらばらの4種類の豆が植えられていました。
4種類とも呼び名は「カキマメ」なのです。

チシャ菜(キク科?レタスの仲間??)とよばれる菜っ葉のタネ採り準備が始まっていました。


カキマメとちしゃ菜のたねとり

「娘がチンしたらすぐ食べれるからって冷凍食品を送ってもらったけど、初めて見た。
下の店にはこんなんおいてないし、今まで食べたことなかった」

というおばあちゃん。

ネギも豆も、菜っ葉も自家採種です。

「娘は、畑なんてもう辞めたら?って、だれも畑に興味ないけど、
野菜を送ってやるのが生きがい。」

収量はそれほど高くないかもしれない。
でも、売るためにつくってるわけじゃないから、それでいいのです。
食べ物を自給するために必要なものはそこにある。


果樹に山の採集植物、ウメボシに使うシソ。
木の下に生えるヤマブキやお茶。
採種したタネは、また来年のためにとっておく。
そこにあるものすべてがうまく補い合い、まわりまわっていく・・・





コエグロとよばれるカヤ束が畑のあちこちに点在しています。

原点が縄文の竪穴式住居にあると言われる古式草農法。
萱場から刈り取ってきたカヤやヨシを積んでおき、自然発酵させた草肥。


▽コエグロについては、こちらのページが詳しいです。
阿波世界農業遺産HP

コエグロ
タネを植えた後は、土が乾かないように、刈り草(イラクサ?)をマルチ代わりに使われています。

草マルチ


近くに住んでいたらぜひとも通いたいくらい、
とっても楽しい畑でした。

もうちょっと伝統農法のこと聞きたかったのですが、
ここでタイムアウトです。

また来たいです。


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