2012年3月30日

たねの不思議(1)植物のオス、メスって?

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植物にもオスとメスがいるの?!というメッセージをいただいたので、ちょっと訂正!正しくは、母株、父株といったほうがよかったかもしれません。

前回の記事「種とり用の育て方と、食べる用の育て方


植物にも性格があって、自分のクローンを残そうとする保守的な自殖植物や、もっと異なる遺伝子を取り入れてどんどん新しい環境に適応していこうとする他殖植物がいます。

自殖植物(イネ、豆)
自家受粉する。交雑率が4~5%以下。
メリット:個体数が少ない場所でも、自分のクローンを大量につくれる  
デメリット:急な禍に弱い

他殖植物(トウモロコシ、アブラナ科)
虫や風で受粉する。 交雑率が50%以上。
メリット:交雑率が高く遺伝的に多様。環境への適応が得意。漬物に使われるかぶ、だいこん、タカナ、白菜などその地に馴染んだ個性的な地方品種が誕生している。
デメリット:他殖植物は個体数が少なくなれば、近交弱勢が起こってしまう(つまり、近親相姦を続ければ障害をもった子孫が産まれる)。


自殖植物には交雑を避ける仕組み、他殖植物には自家受粉をさけるしくみが備わっています。
  • おしべ、めしべが1つの花にある両性花
  • 雄花と雌花が分かれている雌雄異花(ウリ科、松)
  • オスとメスと個体が違う雌雄異株(フキ、イチョウ、ホウレンソウ、アスパラ、ホップ、サカキ)

豆は、花が咲く前に受精してしまうし交配が困難。かぼちゃは雄花と雌花が離れているので受粉作業が必要になります。



市販の種袋に書かれている一代交配種(F1)というのは、異なる性質をもつ個体どうしをかけあわせて作られた、両親の優れた形質をそれぞれ受け継いだもの。


AA * aa => Aa

AAとaaを掛け合わせると、雑種一代目は全てAaとなり、収穫時期や実の大きさなど均一なものができます。

F1種の交配ミスは命取りになります。100%交配させるためには、自家受粉をなんとしても防がなければなりません。昔はおしべを手作業で除いていたのですが、「自家不和合性(近親相姦を続けて自家受粉しなくなったもの)」「雄性不稔(機能不全になったもの)」の遺伝子を組み込むことで自殖しないように改良されてきました。つまり、人為的に去勢されたものを母体として使います。

種を取る母体となるメス株に、別のところで育てられたオス株の花粉を持ってきて交配します。オス、メスというより、母株と父株といった方がわかりやすいかもしれません。

例えば、キャベツの採種農家さんの圃場を見学させてもらうと、こんな風にオス1株に対し、3方をメスで囲んでいました(図1)。1つのオス株が3方向のメス株に受粉することができます。こうして、開花時期にはミツバチをレンタルしてきて一斉に受粉させるのです。







(図1)キャベツ採種の圃場(赤:去勢されたメス株、青:オス株)

どっちをオス株にするか、メス株にするかで結果に違いがでるようです。




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関連記事:
「種の不思議(1)植物のオス・メス」
「種の不思議(2) F1のメリット・自家採種のメリット」
「種の不思議(3)怠け者のロバの作り方」
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