2013年10月27日

広島県立大学の古代米試験場を訪問

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週末農業を始めたのは今から6年ほど前になります。
普及センターの農業講座に通い、畑を借りて、とりあえず、自分が食べたい野菜からのスタート。
普及センターからお借りした本の中に「赤米」の記述があり、なんと、近所に古代米の第一人者がいると知りました。 故・芦田行雄さんです。
田植えや収穫のお手伝いに行き、いまでも実家のバケツ水稲であの時の古代米が受け継がれています。

今回、お米の勉強会の研修で訪問させてもらった広島県立大学の猪谷先生にいただいた資料の中に芦田さんのお名前を拝見して、何か導かれるものがあったのかなぁと思いました。



これまで、野菜を中心に在来種の栽培をやってきましたが、普段は、常勤の仕事をしつつ、週末菜園でやってるので、主食であるお米のことを考えてるゆとりがありませんでした。

どうも、一般市場の流通からはずれた、昔ながらの在来作物をみると、何とか残していけたらなぁと思うのです。猪谷先生の圃場をみてると、どんどん、育ててみたくなってきます。


日本で栽培されている野菜のほとんどがコシヒカリ系。
昔の在来種はほとんど淘汰されてしまいました。

ブータンでのインターン中にみたものは、1つの田んぼに4~5品種の稲が同時に育てられているということ。
香米は王室に納めるもの、飼料用の稲、常食用の稲、収量は高いがうまくない市販米。
多様な用途で使い分ける他、多様な種類を植えておくと、天候や病害虫などのリスクが軽減されるのだと農家さんから聞きました。
日本でも昔はそうだったのかもしれませんね。


以下、レポート&感想を・・・


神事の儀式として残されてきた古代米
いまや、ほぼコシヒカリと化した日本のコメ。
わずかにのこる古代米を受け継いできたのは神社。
岡山総社の国司神社、対馬の多久頭魂神社、種子島の宝満神社。
おもしろいことに、中国や東南アジアでも、赤はおめでたい色。
赤米が神事に使われてきたのは、日本だけじゃないんですね。

写真:芦田さんからもらったもう5,6代目の古代米
実家のバケツ水稲で毎年更新。


古代米には改良米もある
何を持って古代米とするかは難しい。
赤米、黒米、緑米、香米などがあり、色素がついてる有色米を古代米と呼ばれています。
色がついてる米が全部古代米かというと、最近改良されたものもあるとのこと。
アヤムラサキは、インドネシアの黒米と、日本のコメをかけあわせたもの。
立しずかは、飼料米として最近注目される。
なんと、乾燥してから手でポキポキ折れるのだそう。
立ちしずか


古代米の特徴は、環境に左右される

G×E×M=Genotype(品種)×Environment(環境)×Management(管理)

赤米は、刈り取りの時期や、天候が悪いと、きれいに赤くならない。
黒米は、低温にあたって黒くなる、高温では白っぽくなってしまう。
→遅く植えないと発色しない(植え時が肝心)

などなど、
作物の生育は、品種のほかに、環境や育て方によって大きく左右される。
なので、古代米は1年育てただけでは、そういう品種なのか、天候のせいだったのか、一概に判断できないとのこと。これは、他の野菜にもあてはまるなぁと思います。

黒米

鑑賞用稲
江戸時代の本草図譜に掲載されているという江戸時代から愛好家が育てていたという「観賞用稲」。
ポット植えにもできてめっちゃかわいい。
まずは、ポット稲から始めようかなぁ・・・


観賞用稲
印象にのこった言葉。
”古代米は、コシヒカリと違って食味はよくない。
収量も低いし、時期もそろわない。
香米はアジアでは高級米だが、日本人からは「ねずみ臭い」と言われる。
なんでそんなものを研究するのかと、見捨てられてきた「変わり米」
やっといま、古代米を使った酒づくりや、食に光が当てられるようになった。”

私も、地域では文字通りの「変わり種」。なんか変な奴がおる、くらいなもんでしょう。
何事も、20年、30年続けてやっと結果がでるものかもしれないなぁ。
田舎のおばぁちゃんのような農村暮らしをはじめて6年。
どうも気が長くなってきたものです。



参考: 
「赤米の博物誌」, 小川正巳・猪谷富雄著, 大学教育出版, 岡山市, 2008年1月発行

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