2016年11月23日

田舎の手仕事をたずねる旅【熊野の桶屋さん】

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田舎のおじいちゃん、おばあちゃんに手仕事を学ぶ旅。
梅を収穫するところから梅干しに向いた品種、梅酒に向いた品種のこと、漬ける入れ物のこと、おばあちゃんに聞き書きしながら付け方を学ぶ。
またあるときは、創作ゆべしを作ってみておばあちゃんに食べてもらい、本場の作り方を学ぶ。手仕事の旅。

今回訪ねて来たのは熊野で唯一現存している「桶やさん」。

樽と桶と。

桶をつくる職人と、樽をつくる職人は別なんですね。
桶は、あの風が吹くと桶屋が儲かるの桶。銭湯にもっていく風呂桶、寿司桶、など一時的に使うことが多いようです。中身を出し入れするので、湿気たり、乾燥したりしても、変形しにくい柾目板が使われます。

逆に、樽は、お酒とか醤油とか液体を長期間貯蔵するために作られるもの。水密性の高い板目板が使われます。

ただ、味噌を貯蔵する容器を味噌樽といったり、木桶といったり、また、漬け物樽や漬け物桶といったり、あまり厳密に使い分けられていないようです。

長期間貯蔵するものは樽、頻繁に出し入れするものは桶、そんな感じでしょうか。




和歌山で唯一の現役おけや「桶濱」


桶濱の工房は、世界遺産になった熊野古道の中継地点、野中の道筋になります。
「おけや」と掲げられた看板をたどると、一目で分かる工房が見えて来ます。

木に囲まれた家といってもいいのではないでしょうか。
木材や道具に覆われた仕事場に、桶濱の濱次さんはいらっしゃいました。

「木は、中の水分を吸ってくれるでしょ。それをみんな外に出してくれるし、木はぜったい戻すということはしない。そやから、暑い時は暑いように調整してくれるし。そういうよさがあんねんな。」

木は生きている。
息をするように、水をすって、外に出す。
暑い時でも、お漬け物入れといたら木が調整してくれるんだよ、って。
木のことをいきいきと語ってくれました。

濱次さんは、80になっても休みなく、毎日桶を作り続けているのだそう。

桶を作るのは、仕事というよりも日課。生活の一部だと。そう語ってくれました。



接合部分には、ごはんをノリに使う。
昔ながらの知恵です。

そんな濱次さん、1600点以上の応募の中から、『第2回OVER60全国スマイルコンテスト』でグランプリを受賞したそうです。
http://sc-sv.com/press/150917



今日も作業されているかな。
ときどき、熊野に行く用事があるのですが、中辺路の野中を通るたび、雨の日も、風の日も、桶を作り続ける濱次さんの姿を見かけるとどこかほっとします。


工房で直販もされています。
熊野を通りかかる用事があればぜひ、漬け物桶や味噌桶をオーダーメイドしてみませんか?






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