2017年7月9日

てしごとをたずねる【月ヶ瀬村の烏梅】日本古来の伝統色、情熱の紅を受け継いで

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梅の里月ヶ瀬で烏梅ツアー

奈良、京都、三重の県境に位置する月ヶ瀬村は梅林の名所として知られる隠れ里。

その梅は、はもともと「烏梅」とよばれる紅花染めの媒染をつくるために植えられたそう。江戸時代から続く月ヶ瀬の主要産業で、かつては約400軒が烏梅づくりに従事していたと言います。
大きな梅をたくさん作るため、京都の城陽青谷から「城州白」が伝わり、当時は結構な収入になっていたようです。

明治以降、化学染料に押され、激減した烏梅生産でしたが、いまも現役で烏梅をつくられている最後の一軒が、国選定文化財保存技術「烏梅製造」の保持者、中西喜久さん。貴重な技術を見せていただけると聞き、月ヶ瀬活性化協議会が実施する、 「月の学校 全国唯一の烏梅づくり見学」 ツアーに参加して来ました。

日本古来の伝統色、紅を鮮やかにする古代の知恵

ベニバナは、最も古い日本古来の染料の一つで、6 世紀の奈良県の古墳から花粉が出土しています。

そのベニバナには黄色と、紅色、2種類の色素があり、紅の色素をとりだすために、アカザを焼いた強アルカリの灰、そして、発色剤として使われる烏梅の酸、苧麻を撚ったアオソが使われて来ました。

紅色を強く出すための工夫の数々。古代のひとたちの「紅」への情熱を感じさせられます。
ベニバナ
○紅餅
ベニバナをお餅のように搗き固めた物。ベニバナの生産地が関西から山形に移り、保存期間を長くするために乾燥固形物として販売されるようになったようです。
○苧麻
苧麻の繊維を撚ったものをアオソといいます。アオソに一度しみ込ませてから絞ると、ベニバナの染料がさらに強い赤になるそうです。

四国での草糸づくりワークショップ

○アカザの灰
植物のアカザを焼いた灰は、強いアルカリになるといいます。ベニモチにアカザ灰をとかしたものをまぜます。

○烏梅
そして、媒染剤の烏梅。酸度が高く、アルカリを中和する。
紅色に染めた生地に烏梅を加えると、鮮やかな発色になります。

烏梅作り



①まず、箕を使ってススをまぶして梅を転がし、梅全体にふりかけます。ススは、近所で薪をたいているおうちから集めてくるそうですが、ススも近年、材料不足になっているそうです。

②穴にもみがら燻炭をつくり、燻します。


ムシロをかぶせ、24時間、燻し続けます。

③24時間たったら、約半月から1ヶ月間天日干し。



染料以外でも中国や台湾では、「烏梅湯」という健康飲料として飲まれているようです。
この風景がみれるのは、7月上旬から8月上旬の1ヶ月のみ。

お問い合わせ
月ヶ瀬活性化協議会
奈良県奈良市月ヶ瀬尾山 2845
奈良市月ヶ瀬行政センター内・月~金・8:30~17:15(祝日・12/29-1/3は除く)
tel 0743-92-0131 /fax 0743-92-0320
e-mail : tsukigase.nara.jp@gmail.com

(イベント情報)
公式フェイスブック「月ヶ瀬-Tsukigase-」 https://www.facebook.com/tsukigase.nara.jp/
「月の学校」予約ページ https://coubic.com/tsukigase_tour

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「月の学校」とは

地域全体が学びの場となり、月ヶ瀬で長い年月をかけて育まれてきた自然や文化・生きる知恵に触れ・学ぶ。教室は山や田畑、工場や民家。講師は月ヶ瀬に生きる・暮らす・働く人々。月ヶ瀬の中と外が、古いものと新しいものが出会い、混ざり合い、月ヶ瀬の未来、そして、自分らしい生き方をみつける人々の月明かりとなるような学びの場を目指しています。
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