2013年8月27日
新潟の古い市と「テダネ」探しの旅(2)地豆にみる植物民俗学
村をまわって話をきいたり村落調査することを民俗学では「聞き書き」というらしい。これまでブータンとか、日本の山村の集落で普通にしてたけど、改めて考えると面白い(個人的な興味で聞きまわっていたけれど、民俗学とか、調査とか意識せずにやってました)。
田んぼや土地のこと、寄り合いの話しては男性が中心になることが多い聞き書きだけど、種の話は、「種は嫁入り道具」というだけあって、じぃちゃんよりもばぁちゃんの方がダントツ詳しいのです。
「テダネ」を受け継いだり、市で取引したりするのは女。噂話の中心もやっぱり女。昔の市は、結婚相談所も兼ねた。人の流れと物の流れを作ったのが「市」。そうして種も人も旅していきました。
「その地を知るなら市場を見ろ」というけど、新潟は「市」がつく地名がたくさん残っており、江戸から続く古い市が多い。
種探しの拠点は市から、女たちがかつて旅した物流の路をたどるのも面白い。
マメは昔から水田の畔で植えられてきました。
畔豆には、夏に収穫する夏ダイズの「エダマメ」、秋に収穫する秋ダイズの「ミソマメ」があります。
新潟のテダネを探す旅では、山古志村で聞き取りしたところ、煮豆、味噌用、豆腐用、エダマメ用などなど、実に5,6種類のダイズを各家庭で使い分けられていたのです。
面白いことに、ブータンでも、畔に豆を植える習慣があったんですよね。
「盆かおり」「一人娘」「いちょう豆」「湯あがり娘」「肴マメ」「茶豆」
これ、全部、市場のおばぁちゃんが一人で作ってる豆たちなんですね。
ゆあがり娘なんて、豆腐に向いてそう、盆かおりは、お盆に採れる枝豆なのかな。いちょうまめは秋ダイズなんだろうなぁ。
それぞれの通称名に込められた思いが伝わってくるようです。
土井農園さんから送っていただいた豆たち。
うちで育てているまめたち。
花の色もそれぞれ、とっても個性的です。
私は、用途ごとに豆の品種を使い分けられる域に達していないのだけど、その大切さがわかる年代はもう80代、90代。
お元気なうちに先人たちに学び、なんとか受け継いでいきたいものです。
ひな豆
都祁青大豆
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