2013年12月15日

タネは誰のものか?

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今日は、「粟」さんで種のワークショップがありました。
 
タネはだれのものか?
というテーマが議論になったわけですが、最近とくに、種の交換をするようになって思うこと。
その地方の独特の個性を持った在来種を、どこへでも広げてしまっていいものだろうか、と。
 
「もともと、日本在来の野菜なんてほとんどない。タネは旅してきたもの。タネは万人のもの」
「最近ブランド化の流れで、種を独占するために門外不出となった。一部の地域だけで作っていたら、災害などで全滅の危険がある。」
「囲い込みはいつの時代にもあった。門外不出の種を持ち出そうとした村人がぼこぼこになったこともある」
「地域の在来種が勝手に持ち出されて種苗登録されてしまうことも」
 
いろんな議論があるわけですが・・・

 
私が住んでいる京都北部の事例でみると・・・

①野口種苗さんとかで、市場流通している種(ex松ヶ崎浮菜,万願寺とうがらし)
②ちいきのおばあちゃんが家庭消費用に作ってる野菜で、決まった名前のないもの(ex薦池オウギウリ、寺豆、かき豆、筒川の黒さや大納言)
③一般に名前は知られててるけど流通にのってなくて、まだブランド化されていない種。(ex舞鶴かぶ、佐波賀かぶ)
④地域ブランドに指定されていて、門外不出になっているもの。(ex薦池大納言、佐波賀大根、日ヶ谷ごぼう)
  
 
 
だいたい、在来野菜の種をこんな感じでわけてみると、
①の流通してる固定種の種は、すでに流通していて、種苗交換会で出しても問題ないですね。絶滅の危険も少ないです。
 
④の門外不出になってるブランド野菜は、すでに量産体制に入っているので、絶滅の危険がないから、多様性保全の観点から種採りを続けている私のような人間には、それほど興味がないわけです。
 
②のタネは、その作ってるおばあちゃん自身が貴重なものという認識がなく、「どうぞ、もって帰ってください。作りたい人がほかにいるのかい?ほうか、ほうか、つくってみたらええよ」となる場合が多い。
「じゃ、大切に育てるからね」と、その野菜におばあちゃんの住んでる地名を入れて配らせてもらうことも。収穫できたら「できたよー」とおばあちゃんに見せに行くのが楽しみでもあるのです。

 

薦池のおばぁちゃんが一人で作ってる「おうぎうり」
 
一番気をつかうのが③の種。
舞鶴かぶを作ってます、というと、ほしい!という方から連絡をもらうのですが、もしかして舞鶴でブランドにしたい、という話に今後なっていくかもしれない。
むしろ、そうなってくれればいいのです。
 
本当に舞鶴に愛があって、喜多地区の歴史まで熟知していて、その想いを引き継いだ上で、カブに愛をもって接してくれる方にはお譲りしたいのですが、 ただ興味本位で育ててみたいというだけなのかどうか、実際にお会いして顔の見えるおつきあいができる人でないと、判断が難しいなぁと思います。
 
舞鶴カブの地中断面図
 
 
というわけで、このブログで書いている種はどれでもお配りできるわけではありません。
積極的に増やしていきたいもの、地域の中で守っていくべきもの、いろんなカテゴリーのタネがあるんだということを最近感じるようになりました。
その判断はなかなか難しいですが。
とにかく、いま住んでいる地域の中で顔の見える範囲のお付き合いを大事にしてきたいと思います。
 
という私自身が、舞鶴の人間ではないので、ある程度、大事なかぶの種とりを地元に住む方々に引き継いでいけたらフェードアウトしていくつもりです。
 
 
 

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