2016年1月22日

新潟発酵食ツアー(1)上越の台所の必需品「かんずり」を訪ねて

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新潟発酵食ツアーに来ています。


白銀の世界に舞う真っ赤な唐辛子をぜひこの目で見たいと、新潟のお友達をお誘いしたところ、口コミで参加したい仲間が次々に集まり、本当に盛りだくさんの楽しい会になりました。




日本では珍しい唐辛子を発酵させた調味料「かんずり」


唐辛子を発酵させる食品には、タバスコや、豆板醤などがあります。
しかし、かんずりの発酵は二段階。世界的に見ても珍しい発酵食品です。


かんずり作りは、「寒造り」と書き、大寒の日が一年の始まりだといいます。
秋の収穫から5〜6ヶ月塩漬けされた唐辛子を3〜4日雪にさらします。



一面の雪に舞い落ちる赤い花からは、満面の甘い香りが漂ってきます。
まるですでに麹で熟成したかのような匂いがします。

少し試食させてもらうと、かなりの旨味成分がでているのに驚きました。
雪さらしのまえに、すでに乳酸菌や酵母で唐辛子が発酵していたのでしょうか。


【雪にさらすメリット】

①塩抜き
 ②アクをとってくれる。
 ③甘みが増す。
 ④繊維が壊れ、まろやかになる。




今年は雪がすくなかったようで、普段は平地の工場で寒晒しするけれど、山地の大貝地区での実施となったようです

「雪が多いか、少ないかよりも、雪の質が大事。
この地区は、標高が高く、よい雪が降る。
パウダー状でさらさらしているのがいい。」

と社長。

「ナス科の植物ってアクが強いでしょう?雪はアクをとってくれるんですよ。
人のアクも同じでね、上越に嫁に来たらアクが抜けるよ。」

雪にはいろんなものを変化させる魔法がある。
天からの贈り物を活かした雪国ならではの知恵ではないでしょうか。

ウィットのきいた社長のトークがもっと聞きたくなって、工場まで追いかけました。





かんずり工場でお話を聞いて来ました。


もともと、かんずりは、上杉謙信が陣中に持ち込んだ保存食だったといわれる。
秀吉が朝鮮出兵の時に持ち帰った唐辛子が始まりだと伝えられています。
以来、上越では、唐辛子を塩漬けしたものに、柚やまたたび、秘伝の調味料を混ぜて家庭の味を造ってきたのだそう。
工場では、かんずりができるまでの工程がパネルで紹介されています。




昭和30年代、家庭の味だったかんずりを商品化しようと炉端で試作しているところ





寒の時期にすりつぶすから「かんずり」というらしい。

かんずりの工場は今の社長のお父さんが始められました。
戦後、だんだん失われていく食文化。家庭の味を残そうと、10年かけて商品化に取り組んだと言います。
当時は、お父さんが一人で近所のおばあちゃんたちに聞いて試作を続けていたそうです。

モノがあふれていた高度経済成長期。
こんなものを商品化するのか。
人は笑った。



お父さんに、あとは頼んだ、と言われ、試作を重ねる。
「かんずり」を商標登録し、社名にしました。



「脇役でも、ずっとやってたら、いつか主人公になれるのかなあと思って。
なりたくても、なれないんだけどねえー。。」

手仕事の味、それも、かんずり一本。

いまや、20トンを仕込むに至り、海外からも引き合いがあるといいます。
十分、ヒーローです。社長!

かんずりの仕込み

3〜4日雪の上にさらしたあと、ヘタをとって、刻み、麹、柚、酒を混ぜて3年寝かせます。
吟醸を使って6年熟成させたものは、数量限定であまり出回らない社長のオススメです








たねはどうしているのですか?
在来種マニアとしては、つい聞いてしまう質問。

唐辛子は、3種類混合して使っていて、ブレンドすると、辛みに深みが出るのだそうです。
昭和30年代に作られていた品種、たかのつめ、そして、昔はここにあったというアカフサ。
選抜と改良を重ね、それぞれ別のほ場で管理しているといいます。

帰り、社長、社員さんが最後まで見送ってくださいました。
かんずりもさることながら、社長のファンになってしまいました。









今後、寒晒しは3月までに7〜8回、行われる予定です。


【お問い合わせ】
有限会社かんずり
 住 所 新潟県妙高市西条438-1
 電 話 0255-72-3813 
 H  P http://kanzuri.com








食の旅はつづきます・・・

一緒に参加したお友達が映像にしてくれました。




新潟発酵食ツアー(2)関川村発酵食交流会
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