2012年12月22日

ダイコンの起源と在来大根コレクション

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ダイコンは、日本に根付いてきた野菜の中でも特に古いもの。
作物の名前を見ればだいたいの古さがわかる。

ダイコンはオホネ(於保祢)とよばれていました。
ダイコンの栽培は、古くは平安時代の法典、延喜式(927年)の時代にさかのぼるのです。

ところで「延喜式」には、作物の栽培方法、作物ごとの労働時間、厩肥の量、なんかが記されています。
おもしろいことに、昭和初期の労力とほぼ同じなんです。平安から昭和まで農法はそれほど変わっていなかった。戦後どれだけのスピードで農業が変わってきたのか。
ブータンの農村にいて、そんなことを実感しました。









ちょっと話がずれてしまいました。



ダイコンは大きな根とかいて、オオネ。名の通り、おおきな根っこを食べる野菜です。
一方で、「おおきなカブ」のかぶは、和名を「カブラ(蕪)」。同じく古い野菜ですが、これは軸が太ったもの。平安時代から区別していたんですね。


江戸時代に入ってきた野菜は、胡瓜(カラウリと呼んでいた。)、ほうれん草(カラナとよんでいた)、南京(カボチャ)、人参など、漢文読みの名前になっている。

さらに、明治になってはいってきたものは、キャベツ、レタス、ブロッコリ、など、外来語で表記される。

和名読みか、漢文よみか、外来語か、だいたいの古さが野菜の名前でわかるんですね。



大根は、穀類の伝来と同じころに日本に入ってきたといわれていますが、ノダイコン、ハマダイコン(Raphanus sativus var.hortensis f. raphanistrides)は、在来のもので、野生の大根を観察してると、葉は欠刻がなく、板状、花は淡い紫色をしてます。

私がネパールから持ち帰って育てている在来大根は、まさにこの特徴にそっくりなんです。
葉はきれこみがなく、花は紫色。野生ダイコンに近いのかもしれません。
地種ハンターとしては、古くから伝来した種ほど萌えます。




(左)畑菜 (まん中の3つ)五木赤大根 (右)ネパールの在来大根


真ん中の五木赤大根は、種苗交換ネットワークで入手したもの。白い根に赤の縞が入ったもの、真っ赤なもの、葉っぱが黒いもの、 かなりばらつきがあってたのしい。

これまで、わたしは、商品として売れるレベルの純度の高い固定種を選抜したいと思っていました。だけど、こうやってばらつきがあるのも、地野菜ならではなのかなぁ、とも思います。

のこしたい特性のあるものは、きっちり選抜して交雑しないように種をとる。個性を楽しみたいものは、あえて、ゆるく自然に任せて種をとる。
と、これからは、いろんな段階に分けて、やっていこうかな、と考え中。


関連記事:
ネパールダイコン(1)
ネパールダイコン(2)
ネパールダイコン(3)
葉ダイコン
江戸の京野菜「はたけ菜」
京都流ダイコンの干し方

参考文献:
青葉高「野菜の日本史」八坂書房(2000年)
大井美知男・市川健夫「地域を照らす伝統作物」川辺書林(2011年)

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