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2023年10月27日

100の野草を常食する「吃草の民」アミ族の暮らしに密着してきた

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 16の原住民族のひとつ、アミ族は「吃草の民」と呼ばれていて、300種類の植物を使い分け、うち100種類を常用するといわれています。そんなアミ族の暮らしに3日間密着してきました。

棘のある植物には味がある

初日から、着いていきなり採集へ。12種類の植物を採集し、サウナの準備と、ご飯の準備。ランチが終わったら、また次の日の分の採集に出かける。1日2 回の採集!さすがは「吃草の民」と呼ばれるだけあります。

湿地で取れるもの、高原で取れるもの、山中に入るもの、それぞれ植生が異なるので、あちこち入っていく! 次々に摘んでいくので、メモを取るのに必死でした。

とにかく、印象に残ったのは、「棘のある植物には強い芳香と味わいがある」 ということでした。

棘のある野生アマランサス、刺葱の葉、「トウ」の木の幹、気が遠くなるような細かい棘を一枚一枚こそげとり、食べるのだ。つくしの袴取りの比ではないんです。

棘のある野生のアマランサス
黄藤。この幹の棘をひたすら削って使う! 

なぜ、アミ族は、こんなに大変な思いをして、棘をひたすら抜くのか? 棘のない野草だってモリモリあるのに。

「だって、これが美味しいから。」

帰ってきた答えは実にシンプルでした。

まるで、登山家が山に登る理由が、「そこに山があるから」 というように。美味しいから食べる。食べるためにトゲを抜く、ただそれだけのことだったんです。でもそれが、めちゃくちゃ大変。

美味しいものを食べるには、頑張らないといけないんですね。そして、一人だと気が遠のきますが、みんなでやるから良いのかもしれません。

みんなでおしゃべりしながら刺抜き

東南アジアの蒸し風呂文化圏


台湾には温泉はありますが、サウナというと、西洋のサウナか、韓国のチムジルバン。中華圏の文化とはまた違った蒸し風呂 (スチームサウナ) の文化がアミ族に受け継がれていました。これが、タイのテントサウナにとってもよく似ているのです。

アジアにはいわゆる北欧系のドライサウナとは違った、蒸し風呂のサウナ文化圏があります。水が貴重で、蒸し暑い熱帯諸国ならではのサウナで、タイ、カンボジア、ミャンマー、ラオスあたりに広がっています。

台湾は、どちかと言えば温泉文化圏で、湯に浸かることはあっても、サウナはないと思っていたのですが、原住民たちは蒸気蒸しをしていたのでした。風邪引いたときや、体調がすぐれないときに入るそうですが、12種類の野草を摘んできて大鍋でことこと炊くところから始まります。

村のお母さんによると、炭火でじわじわ炊くことが重要なのだとか!
実際体験してみると、桶1杯のお湯なのに、ほかほか、ずーっと熱が冷めません。1時間以上入っていたでしょうか。体の内側にじんわりと広がり、これがめちゃくちゃ心地よくて、すやすやと、ほぼ全員まどろみの境地にいました。子供が風邪をひいた時につくる母の滋味を感じます。

自家採集してきた12種類の薬草
使う薬草の効能を解説してくれる村のお母さん
心地良さすぎてすやすや〜〜

内服薬と外用薬にみる原住民の民間植物療法


アミ族には、母から子へ、父から息子へ伝えられる知識の伝承システムが社会制度の中に組み込まれていました。その知恵の中には、野草から薬をつくることも含まれています。この村では、その知恵を、他の部族たちにも広く伝え、残していこうと、おばあたちが先生となり、ときどき教室を開かれています。

テキストには、伝統的な植物採集や、サウナの作り方、内服薬の作り方、外用薬の使い方などが記されていました。内容は、中華圏の中医学とはまた違い、タイの伝統医学にも通じるところがあります。これだけの知識が受け継がれていることに驚きます。

参加者の中に、ちょうど虫に刺された人がいたので、取ってきた植物を塗ってもらっていました。ほんとにすぐに痒みがひいたそうです^^

野草湿布の使い方を説明

女性は野草採集、男性は狩猟へ:母系社会と階級制度によって受け継がれる伝統的知識


アミ族は母系社会。つまりは入り婿さんで、旦那は奥さんの家に入り、女性のために獲物を捕まえてくるのだとか。

アミ族の村社会は階級制度があって、男性は13歳になると1階級のクラスに属し、3年ごとに昇級、20階級まであり、それぞれ階級ごとに村での役割や仕事内容や服装まで定められています。服装で階級がわかる、まるで軍隊のような組織。

魚毒を集め、魚を取り、檳榔の木に登って葉っぱを採集し器を作り、肉を保存し、酒を醸し、薬を作り、家を建てる。その知恵は、階級ごとにしっかり伝達され、受け継がれていく。階級組織に属している13歳以上のアミ族はあまねく伝えられる仕組みが社会システムに組み込まれているのでした。

アミ族の家には通常、二つの台所が存在します。一つは家の内部にあり、女性が主に使う場所。もう一つは別棟の小屋で、「男人厨房」と呼ばれています。この場所は主に狩猟や釣りで捕れた獣や魚を処理するために使われ、その料理は女性に贈られるという習慣があります。

実際に「男人厨房」を体験してきました。 まず、厨房を案内してもらい、「ちょっと、まってて」とおじさんに言われて、厨房を見ているほんの少しの間に、犬のようなサイズの子鹿に似た「キョン」という獣のツガイを連れてきてしまいました。

その処理方法が実に印象的で、キョンの全身をガスバーナーで一気に焼き、毛を剥がす。そして、洗い桶でたわしで磨き上げ、丸焼きかと思いきや、大釜でぐつぐつ煮るところは、まさに「男の台所」。

出来上がった鍋は、脱毛しただけで、皮ごと煮るので、皮下脂肪たっぷり。これがまたぷるぷる!シンプルな塩味のみのスープはなんとも言えない滋味に満ちていました。

男人厨房は外の小屋に。このくらいの小屋はアミ族なら1日で建ててしまう!

おじい曰く、男性は女性に頭が上がらないのだそう。ただ、族長は男性で、ウチ(酒造りや料理、薬作り)とソト(狩猟、力仕事、ときに他の部族との戦争)、で役割分担されているので、ウチでは頭が上がらなくても、それなりにバランスが取れているのかもしれません。

キョンを茹でているところ

檳榔の葉鞘で火鍋をつくる

アミ族の野草料理はとてもバラエティに富んでいて楽しいのですが、中でも、「十芯菜」とか、「八菜一湯」とよばれる、植物の幹(芯)など多くの野草を使った火鍋が面白いのです。もう、一つの鍋だけで10種類の野草を使うわけですから、100種類の野草を常食するというのは、伊達ではないわけです。

まず、木の葉で鍋を作るところから始まります

木の葉で鍋?」と思われるかもしれませんが、これが、案外とってもしっかりした鍋なんですよ。

皮をなめすように、木の皮を水に浸し、柔らかくします。そして、竹串で刺し、ほんの数分で鍋が出来上がります。

檳榔の葉鞘で鍋を作っているところ。竹串ももちろんお手製!

アミ族は、椰子の木🌴のような細い幹を猿のように登ってとってくるのですが、木の皮って、自分で取らないとどこにも売ってないんですよ!まず、よじ登れないと鍋がつくれない!

この鍋に、あつあつの焼石をじゅわーっと入れ、火鍋を作ります。

焼き石に海鮮、たっぷりの野草

そしてこの皮、水につけるとなめし皮のように折りたためるので、お弁当包みにもなるんです!

檳榔の葉鞘でつくる弁当包み

檳榔の葉鞘で包まれたお弁当

エッジ(周辺)にこそ最先端がある


タイには、アーユルヴェーダと中医学の境目の植物療法があります。
アミ族にもまた、中医学ではない植物療法があり、タイや東南アジアの伝統療法に共通する植物も見られます。本来、伝統医学や民族の知恵に境目はなく、人伝に伝承されてきたもの。

「中医学」「アーユルヴェーダ」とカテゴライズされ、教科書化され、知識として体系化されると、そこから外れてしまう考え方が淘汰されてしまいます。

わたしはどちらかというと、大国に取り込まれなかった今にも消えつつある境目の知恵に興味があって山岳民族の植物利用を調べています。

インドや中国のような大国の体系に組み込まれなかった知恵は、取りこぼされるように周辺に残されてきたのでした。捨てられていってしまっているものの中に、また、新しい発見がある。わたしにとって、エッジにある未知は、知られざる知恵が豊富に学べる最先端なのでした。

今日も新たな未知を探し求め、周辺を歩く。

ーーー

ときどき同行者を募集しています。
今回は、3名の方に応募いただきました。
また、植物と食を巡るディープな旅に興味がある方がおられたら行きましょう〜!

(詳細は、里山文庫のオンラインコミュニティで募集中。)

電子書籍も販売中!詳細はこちら

台湾通信 No.2:植物を探求する旅
~フォルモサ・ボタニカ ─ 台湾の森と植物のある暮らし~
全32ページ
PDFデータで送付
もくじ
1. 台湾の歴史と植物文化
・青草と生薬
・台湾の地理
・台湾湯めぐり
・ローカル市場
2. 植物と人間の関係性
・食用
・儀礼・儀式
・医療用
・染色工芸
3. 16の原住民紹介
4. エリア紹介
・台北エリア:薬草街と迪化街
・コラム:台湾の青草と薬膳食材
・台中エリア:中医学とオーガニックを学ぶ
・コラム:客家の植物利用を学ぶ旅
・台南エリア:植物のアトリエを体験
・屏東エリア:ルカイ族の石板屋にステイ
・花蓮・台東エリア:アミ族の暮らしに迫る
5. 原住民の植物利用
・食べられる植物
・アミ族の薬草学
・草麹づくり
・染色織物
・工芸植物
6. レシピ
・アミ族のレシピ
・タイヤル族のレシピ

電子書籍サンプル

2023年10月25日

台湾植物紀行:オンラインで巡る森と共に生きる暮らし

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自然との共生をテーマにしたアジア民族の知恵を学ぶ旅、「Asian Foodlore Journeys」。2015年から台湾原住民族の村にて植物利用の調査をしています。今回の渡航では、タイヤル族、アミ族、タロコ族の村を訪ね、暮らしに植物を取り入れる知識を学んできました。


特に興味深かったのは、「吃草民族」とも呼ばれるアミ族。彼らは、世界でも類まれな植物知識を有するとされ、200種類の植物を利用し、100種類以上の野草を常食しています。食用だけでなく、薬や染色織物としても植物を用いる彼らの生活は、まさに自然と調和した豊かなものでした。そんなアミ族の集落に滞在しながらその暮らしに密着してきました。

この度、台湾の植物と民族の知恵に焦点を当てた電子書籍「台湾通信 No.2:植物を探究する旅」を発行することになりました。これにあわせて開催するこのオンラインセッション&交流会では、台湾の自然と文化、そして人々の暮らしに迫ります。

さらに、特別なオプションとして、台湾から選りすぐりのお土産もご用意しておりますので、是非お楽しみに!


🌿日 時
2023年11月26日(日)20:00~21:00
※アーカイブ配信あり


🌿内 容

  • 台湾原住民族(タイヤル族、アミ族、タロコ族、パイワン族、ルカイ族、客家)の村での植物調査のお話。

  • 台湾での植物の利用法や、生活に取り入れるためのポイントを解説します。特に「吃草民族」と呼ばれるアミ族の知恵にクローズアップします。

  • 台湾で植物について学び、体験できるおすすめの場所を紹介します。

  • Q&A: 台湾と植物について、聞いてみたいことにお答えします


🌿料 金

  • 台湾通信のみ 1200円

  • 台湾通信+お話し会参加 3800円

  • 台湾通信+お話し会+お土産付き 4600円(送料込み)


<お土産のオプション>
電子書籍でも触れている客家の保存食や台湾漢方をお送りします。
各オプションは先着10名様限定となります。

 A:梅乾菜(客家の保存食 レシピ付き)10名
 B:羅漢果のお茶(のどの調子を整える漢方茶) 10名
 C:台湾薬草の入浴剤 (艾納香 or 茉草&芙蓉) 各10名


入浴剤は2種類あります。
艾納香 :「大風草」とも呼ばれるタカサゴギク。台湾では産後ケアや生理痛にも使われる女性に人気の漢方薬。効能は温中活血。(キク科なので、キク科アレルギーの方は避けてください)
茉草&芙蓉:台湾では、邪気を祓い浄化する植物として知られる「小槐花」は、「抹草」「魅草」とも呼ばれています。効能は清熱・瘀血。


🌿主催者
前田知里(里山文庫)
オランダワーゲニンゲン大学で有機農業を専攻。在学中ブータンGNH委員会の国家プロジェクト国土100%オーガニック計画に参加し、半年間で60人の農家にインタビューする。自然とともに生きる民の「伝統的な知識」に感銘を受け、台湾の原住民集落をはじめ、アジアの農村を訪ね歩き、古老から伝統農法や薬草、発酵の知恵を学ぶ。帰国後、奈良で古民家を改修し、民族植物と食の実験室「里山文庫」をオープン。食と農をテーマに暮らしの知識を伝える教室を開催している。全国通訳案内士(英語・中国語)/ 旅行業第3種登録

🌿お申し込み方法

peatixのイベントページにて受付中。

https://peatix.com/event/3741104/view


<台湾通信について>

台湾通信 No.2:植物を探求する旅
~フォルモサ・ボタニカ ─ 台湾の森と植物のある暮らし~

全32ページ
PDFデータで送付

もくじ

1. 台湾の歴史と植物文化
・青草と生薬
・台湾の地理
・台湾湯めぐり
・ローカル市場

2. 植物と人間の関係性
・食用
・儀礼・儀式
・医療用
・染色工芸

3. 16の原住民紹介

4. エリア紹介
・台北エリア:薬草街と迪化街
・コラム:台湾の青草と薬膳食材
・台中エリア:中医学とオーガニックを学ぶ
・コラム:客家の植物利用を学ぶ旅
・台南エリア:植物のアトリエを体験
・屏東エリア:ルカイ族の石板屋にステイ
・花蓮・台東エリア:アミ族の暮らしに迫る

5. 原住民の植物利用
・食べられる植物
・アミ族の薬草学
・草麹づくり
・染色織物
・工芸植物

6. レシピ
・アミ族のレシピ
・タイヤル族のレシピ

「台湾通信Vol.1 台湾茶を訪ねる旅 」はこちら。
https://satoyamalibrary.stores.jp/items/5e44938594cf7b127088c27a


🌿 注意事項
データでの送付になりますので、資料送付後はキャンセル不可になります。
参加できなかった方は後日映像をお送りします。

台湾通信 No.2 サンプル

2023年10月15日

1日30名限定!タイヤル族の自給自足の桃源郷へ

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不老部落について

台湾植物民族と発酵ならいごとの旅2日目。入域できるのは1日30名限定!タイヤル族の現在版桃源郷へ。

不老(Bulau) 集落のBulauというのは、タイヤル語で、のんびり過ごすという意味で、日本語で言うと、"ぶらぶらする"みたいな感じだ。

入域制限しているため、数ヶ月先まで予約でいっぱいと言われてて、なんとかキャンセル待ちで1席ゲット。

入域制限は、集落の暮らしを維持するために必要な措置で、入国税をとって観光制限しているブータンの戦略とよく似ています。

村までは、車は入れない。
長い吊り橋を徒歩で渡ると、かなり桃源郷に入った感。



まず、粟の酒と薬草茶がふるまわれ、粟で発酵させたすっぱい肉を囲炉裏で焼く(タイヤル族は生肉で食べるそう)。どぶろくと肉は一口づつ交互に食べるのが、タイヤル族流なのだそう。


粟で発酵させた豚肉Tmmyan と粟のどぶろく


ここは、ほかのテーマパークのような民族村とは違い、人が実際に住んでる。
キノコ栽培施設や、どぶろく工房、パン工房があり、竹やナイフづくり、機織りをしてて、天然の薬草を採集していて、染色し、濁酒を仕込み、肉を発酵させ、食卓に登る食べ物も、約8割が自給自足なのだという。

人口は約20名。ごはんは、共同調理場で、村人全員の料理を一緒に作るのだそうだ。まさに、現代版の桃源郷。


村の食卓を体験

この村での食事は、80% が自給自足だといいます。
森から集めた野草や、キノコの栽培、神事でも使う粟を中心に、どぶろくの工房や酒粕を使ったパン工房も。

村を回りながら、随所でおやつが出てきたり、3種類のどぶろくを飲み比べしたり、テイスティングがはじまります。今回は食べ物をご紹介。

🌿タミャン(粟で発酵させた鮒寿司のような豚肉)の串焼き
🌿長豆と刺葱の塩漬け
🌿蒸し野菜&野草の盛り合わせ
🌿カタツムリの生姜巻き
🌿カボチャの蒸し物
🌿芋の蒸し焼き
🌿過猫菜(シダ植物)のおひたし
🌿粟のちまき
🌿鮎の塩焼き
🌿粟の酒粕パン
🌿粟の酒3種類(4% 、 14%、蒸留酒 58%)
🌿薬草茶(万寿菊)

ここで働く人のほとんどが20~30代の若者たち。
彼らは、村の職業訓練校にて、伝統的な狩猟採集技術や醸造技術のみならず、シュランシェフなど、外部から講師を招き、料理やパンなど最先端技術も学んでいるので、食のプレゼンテーションがとても美しいのです。

革新がなければ伝統は生き残れない。なんだか、それは、どこの国でも共通のテーマかもしれないと思ったのでした。日本の田舎においても応用できるアイデアはたくさんあり、コミュニティづくりの参考になるかもしれません。


生きる術を学ぶ職業訓練校


囲炉裏でウェルカムドリンク&肉のあとは、学校や工房など、村の施設を案内していただきました。

村には職業訓練校があって、タイヤル族の若者たちが、どぶろくを仕込んだり、狩猟採集したり、ナイフを作ったり、苧麻から糸を作り布を織り、染める技術を学んでいます。さらに、ミシュランシェフなど、外部から講師を招き、料理やパンなど最先端技術も学んでいるのです。

工房を見学させてもらいましたのでちょっとご紹介。

染色織物工房

ひだりから、
・黒:五倍子
・灰色:グアバ
・青:藍
・オレンジ:玉ねぎ
・茶:「染めの芋」と呼ばれる芋の根っこ


竹工房
女性用のバッグ、上はあかちゃんしょいかご、下は野菜入れ。



織物工房
苧麻から織られる布で作られた服や雑貨を購入することもできます。



この村が入域制限している理由は、「生きた暮らしを継承するため」必要なことだったのです。

原住民の民族村は、アイヌの村もちょっと似たような感じかもしれませんが、ほとんどがテーマパークになってしまっていて、暮らしがそこにありません。ここでは、みんなの生活があり、工房があり、暮らしの技術が生きている、観光のための施設ではないからなのです(というわけで、数ヶ月先まで満席、奇跡のキャンセル待ちでなんとかすべりこみでした)

「父の世代の長老たちは、森を開き、野菜を植え、椎茸を栽培し、森で生きていくための収入源を作ろうとしてきました。私たちの世代は、外に売りに行くのではなく、きてもらうことで食べていくことにしたのです」と、代表のkwaiさん。

伝統をもとに革新したおしゃれモダンな原住民料理、現代のファッションにアップデートした染色織物。伝統的な粟のどぶろくをミシュランレストランに卸し、粟の酒粕を利用したパンを焼く。その細部には、伝統と革新のセンスが宿っていました。

2023年10月5日

台湾アロマ博物館と森林温泉

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香りのセラピーはアロマだけじゃない!アジアの芳香療法とは


ときどき同行者を募集していますならいごとの旅。
コロナ後再開し、今回は3名の方に応募いただきました〜!

台湾旅1日目から台北を飛ばし、宜蘭にある台湾芳香博物館へ。アロマって西洋のイメージが強すぎですが、漢方にも芳香療法はあるんですよ。

ヨモギやタカサゴギク、薄荷、台湾檜、などなど、使われ方が書かれています。
漢方アロマの本

台湾にきたら毎回、数日間、大学の書庫や郷土資料館にこもって本を読むのですが、アロマと台湾薬草に特化したこのコレクションは大学でもないかも!台風の日は読書デーにしてたのですが、初日からアロマ専門書庫にこもってしまいました。
台湾は温泉パラダイス

台湾は、実は植物調査を始める前は、温泉に入りにきていました。
台北周辺にもいい温泉はありますが、やはり地方がおもしろい!

泥パックにダイブするような泥温泉もあれば、炭酸冷泉があったり、プールのような温泉や、森の中の温泉も!


本草綱目や黄帝内経あたりの「薬湯」について深掘りしていると、温泉に入りたくなり、夜は礁溪温泉郷へ。森の中にある森林温泉を満喫してきました。
ドクターフィッシュおおすぎ・・!
森林温泉

名物、八宝冬粉。8種類の具が入った春雨。なぜか台湾では、春の雨ではなく、冬の粉。


アロマ博物館で買った台湾檜のシャンプーさっそく使ってみました。

しかし、台湾の温泉て、どうも、娯楽施設で、日本の露天風呂の影響もかなり入っています。薬湯はもはやリゾートSPAの世界のものになっていて、伝統的な薬湯は探せませんでした。

今週末は、アミ族の薬草合宿に参加予定。アミ族は薬湯を作るそうなので、本草綱目や中医学の薬湯との比較が楽しみです♪

さて、前回は本だけで10kgほど買い込んだけど、また、買いたい本が増えた初日でした。

2023年7月16日

豚の熟鮓、魚卵の漬物、野草麹の酒?!台湾原住民の植物と発酵の知識がものすごい!

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ときどき同行者を募集してますアジア民族の自然と共に生きる知恵を学ぶ旅。今回は、台湾のアミ族の村を訪ねてきました。

台湾からは、屏東科学大学の先生や学生、日本からは、糀屋さんのスタッフと一緒に参加。原住民の食品や植物の研究者と一緒に旅していたので、使う植物と発酵菌の知恵について、現代科学の観点からも独自の考察が繰り広げられ、議論がめちゃくちゃおもしろかったのです!

今回、とっても感動したのが、アミ族の野草の知恵と食文化の豊かさ。
これまでも、屏東科学大学の先生方にご案内いただき、タイヤル族やルカイ族の村でもインタビューしてきましたが、アミ族は特にすごい楽しいんです!!ちょっとその面白さを解説したいと思います。


🌿原住民のどぶろくは養命酒だった

麹作りに12種類の植物を使います。
それぞれに健康食品としての効能や香り、殺菌、保存性のある植物たちです。

チンキとして 薬草をお酒に漬け込む「薬酒」とは違って、お酒 そのもの作る発酵の過程で植物が使われているのです。つまり、原住民のどぶろくは、穀物の発酵とともに、植物も一緒に発酵させ、薬膳的効能を取り入れる養命酒だったのです。

8月終わりの土日に長野で発酵合宿を予定しています。原住民がなぜその12種類を選んだのか、考察しながら、日本の野草でアレンジしてみようと思います。作りたい人はぜひご一緒しましょう!

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ワークショップで作った後、台湾中を旅しながら培養した草麹

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🌿発酵食品パラダイス!豚の熟鮓の内臓の塩辛、魚卵の漬物、発酵づくしの食卓

豚の熟鮓や、養命酒のようなどぶろく、漬物、コーレグース、めんま、発酵魚卵(魚の卵の発酵食)などなど、海の幸と山の幸の発酵食オンパレードです。

平安時代に書かれた延喜式では、味噌や醤油は穀物を発酵させたいわゆる「穀醤」ですが、魚を発酵させる「魚醤」、そして肉の発酵食は「肉醤」とよばれてます。日本では肉醤は、食文化として根付いてきませんでしたが、肉醤の原型が原住民の村に生きてるんですよ!

原住民の肉醤には2種類あって、鮒ずしのようにご飯を使うものと、塩漬け。習えるとこも発見。捕れたてイノシシでないとだめだそうで、また作りに行きたいな。


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🌿植物の知識まじやばい!100種類の野草が並ぶ食卓

12種類の植物で醸すお酒に見るように、植物を見分け、探す力がハンパない!お料理も野草盛りだくさんでエスニック感満載です。

「野菜主義(「野菜」は中国語で野草のこと)」の作者である呉雪月さんによると、アミ族が認識している野草は200種類に上り、うち、食卓に並ぶ野草で100種類あるとか!

呉雪月さんが校長先生をされている「原住民野菜学校」が花蓮の駅から徒歩15分のところにあるので訪問してきました。70元でだれでもお庭を案内してもらえます(ただし中国語できない方は、植物に詳しい通訳いれたほうがいいかも)。めっちゃたのしいのでぜひ!

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原住民の野草学校にて
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酒麹をおこすための代表的な植物たち

🌿ワイルドに食べる焼き石をじゅわーーーっと!ビンロウの器に注ぐ焼き石火鍋

ビンロウの葉っぱの器、野草ちまき、そして、あつあつに熱した石をおもむろにスープの器に入れ、じゅわーっと石焼汁に。
魚毒とよばれる魚を失神させる植物を使ったり、竹で編んだ網を川底にしかけたり。

アミ族は、海側と山側の両方に集落があり、海の知恵と山の知恵、両方あるのもいい!アミ族のレストランにいくと、ちょっとワイルドな原住民料理がたのしめますよ✨

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ビンロウの葉っぱに入った石焼き火鍋



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また10月に行こうと思います。
というか、しばらく野草留学しようかと計画中〜。

ヒマラヤや雲南の民に会いに行くのは、ちょっと移動が大変だけど、台湾へは片道3時間。LCCが再開しているので、はやめにとれば片道1万2000円。東京〜大阪への移動と変わらないくらいでたどり着けます。

また同行者募集する予定なので、よかったらご一緒しましょう。

(オンラインサロンの会員向けに募集予定)

タイ薬草留学の記事はこちら。


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月替わりで開催しています民族植物実験室、今月は、台湾原住民の村で習ってきた料理を作ろうと思います。石焼き芋用の石が届いたので、さっそくじゅわーーっと、石焼き海鮮します〜。

台湾から持ち帰った原住民のハーブや発酵食材も登場しますよー!おたのしみにー!

〈今月のメニュー例〉
🌿タロコ族 粟の野草粥
🌿阿美族 豚の熟れ寿司炒め
🌿阿美族 石焼き海鮮火鍋
🌿パイワン族 粟の豚粽
🌿阿美族 どぶろく(草麹)
🌿阿美族 コーレグースとライムの海藻サラダ

何気に書いてるけど、これ、日本じゃ手に入らない発酵食もりもりです。
それがなくても作れる方法もご紹介しますね〜!

台湾原住民の生活文化や手仕事、民族植物の知恵に興味ある方、発酵民族学が好きな方とお話しできるのを楽しみにしてます!


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