2012年12月7日

江戸の京野菜「はたけ菜」

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この畑菜は、日本有機農業研究会の種苗ネットワークを通じて、岩崎政利さんの種をいただきました。
いまやほとんど育てられていない、江戸時代の京野菜。

別名:菘(すずな、からし、たかな、うきな、つけな)
学名:Brassica rapa L. 英語:Turnip, Rapeseed

宮崎安貞『農業全書』(1696年)で初めて、「はたけ菜」という言葉が出てきます。

引用:蕪菁に似て別なり。京都にてはたけ菜と云。近江の兵主菜、田舎にて京菜と云。
其味蕪菁にまされり。菜の上品とす。其品類〈しなたぐひ〉多しといへども、京都、近江、江戸にあるを尤よしとす。


人見必大『本朝食鑑 』(1697年)では、菘(うきな、つけな)は白菜をさす、とあり。

『多識編』(1630年)にも、白菜だ、と出ています。

でも、白菜(Brassica rapa var. pekinensis)とは明らかに異なります。
白菜は、それまでもたびたび、江戸の文献にも出てくるけど、非結球性だったとか。
読み方も、ハクサイでなくて、シロナ。
現在の形の白菜は、本格的に栽培されたのは明治に入ってからのようです。


貝原益軒『菜譜』(1714年)では、

菘は京都の水菜、近江の兵主菜をあげ、「近江の菜づけ、加茂の酸菜の漬物、名物なり。味すぐれたり」と記載されています。このあたりが近いのではないでしょうか。


起源は、明らかではないけれど、アブラナの一種で、菜種油用の花が咲く前の若芽を食べるもの。京野菜の中でも、上品な味とされていたようです。

やがて、アブラナとカブの交雑種、小松菜が出回ると食べられなくなってきたという。


畑菜は、伏見、松ヶ崎で育てられ、「うき菜」という語源からいうと、「松ヶ崎浮き菜かぶ」とも兄弟なのではないでしょうか。

伏見では、畑菜を初午の日(2月最初の午の日)に食べる習わしがあったという。
京都では、この日には何を食べる、と細かい決まりが多いのですが、初午は、稲荷社の縁日。
寒くなって、霜が降りるとよりおいしいんだって。
なるほど、2月に食べるのには意味があるんですね。

早く蒔きすぎたので、2月までは収穫もたないかな・・・。

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