2014年3月4日
「あかごめ学校」との再会・・・
あぁ、またここに戻ってきたんだなぁ。
2009年春。丹後に赴任して間もない頃。オランダに留学する前の、懐かしい写真に出会いました。
Mixたんごひとびと。
すてきな丹後人に出会う暮らしの交流旅(Mixひとびとtango)がはじまったころでした。
それまでの私は、山登りは少ししていたけど、農業に興味があるでもなく、育ってる人参も見たことない普通の都会人でした。
人はある日、突然変わることもあるのです。
こういう生き方がしたい、と思った時、きっとどんなふうにも変われるのです。
2009年は私にとって転機の年でした。
占星術ではサターンリターンというらしい今後の人生の分岐となる29歳前後の転機。
私は農業を学ぶため、オランダに旅立つことを決める。
とくかく、できるだけ、土にふれたい。
でも、市役所や普及センターは、就農以外で畑を借りたい人間を相手にはしてくれません。
丹後は田舎すぎて、畑が身近すぎて、私のように、都会から来て畑がやってみたい人のための市民団体などありません。ニーズがないから市民農園がないのだそうです。
そこで、農業をやっている人のお話を聞きに行ってはお手伝いさせてもらいました。
「古代米」の本をたまたま手に取った時、弥栄の「あかごめ学校」のことが記述されていたのです。
巻末に記載されていた保存会の連絡先に電話し、芦田さんをお訪ねしたのです。
これは、田植え体験の時の写真。
さなぼりの話、雲南やブータンまで赤米のふるさとを訪ね歩き、初代古代稲研究会の会長として活動された芦田さんの話はとても印象深いものでした。
「丹後国竹野郡芋野郷婇部古与曽赤舂米五斗」
奈良の朝廷に送り届けられたという木簡が出た土地に、石碑が立っています。
帰国後、あれから、はや5年-。
再び、芋野を訪れました。
そんな芦田さんは、昨年亡くなられたことを知りました。
会えず終いだったなぁ。
木簡の「古与曽」にちなんで建てられた「COMEVA古与曽」入口におかれた一枚の写真が目につきました。この写真だ。懐かしさがこみあげてくるようです。
コヨソの2階は資料館+田んぼが見渡せる絶景のカフェスポットとなっています(カフェの営業はイベント時のみ)。
関連リンク:
芋野赤米ブログ
古代稲の展示 |
赤米保存会のあとを引き継がれた藤村会長に案内していただきました。
芦田さんとともに9種類の古代米を育てられた経験があるようで、品種の違いを解説していただきました。
丹後の「丹」は昔、赤米の献上地であった赤色の穂にちなんでつけられたといいます。
縄文時代に最初に日本に伝わった古代米は、発掘された「プラントオパール」から、短粒のジャポニカ型だったと言われています。
江戸以降、インディカ種の赤米「大唐米」が伝わり、いま育てられている古代米は、インディカが多いようです。
赤米保存会が全国から集められた品種には、短粒のジャポニカがあります。
3大赤米「総社」「対馬」「種子島」
江戸時代以前から連綿と伝えられてきたもの。
人類のルーツと同じで、全ての作物にふるさとがあります。
作物の起源をたどっていくと、いつ、どこからきたのか、物語が見えるのです。
圃場見学の後は、芦田さんの書斎を訪問し、残された資料を拝見。
30年前から赤米の研究をされておられ、もうどこにいっても手に入らないような、とても貴重な資料がたくさん並んでいました。
総社の赤米 |
左から、総社、種子島、対馬 |
「いままで仕事でずっと村の調査をしてきたけど、もう聞ける人がいなくなって、学生たちが昔から聞きとりしてた私の話を聞き書きに来るのだ。私は第3者として聞いていただけで、当事者ではないから、やっぱり伝えきれない部分がある。」
資料館の学芸員を引退された方の言葉をふと思い出しました。
昔の人の暮らしや知恵、技術を学び、書きとった書物も、使われなければ失われてしまう。
いま、種とりが当たり前だったころ、赤米や雑穀が当たり前にあったころの話がきける最後の世代だろう。話を聞きたいと思っても、すでに亡くなられた方も多い。
聞き書きをしてきた人の頭の中や、書いたものをさらに、聞き書きする人が必要.
これからは、聞きとりをされた方から聞きとるしかない。
また聞きでしか聞けない話になってしまうかもしれない。
芦田さんの調査されたこれほどの記録をどこまで引き継げる方がいるのでしょうか。
思えば、私が在来作物の道にはまったのも、はじまりは丹後での生活でした。
人の一生に記録できたことは、死んでしまえばリセットかもしれない。
それでも、その記憶はきっとどこかに残るのだ。
そのうち、50年もたてば、もしかしたら私の所に聞き書きにくる若者がくるかもしれない・・・
なんてことを思いながら・・・(それまで生きてればですが^^;)
原点に立ち返り、やりたいことをやって生きよう。
改めておもったのでした。
貴重なお時間ありがとうございました。
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