2016年1月17日

田舎の手仕事 ならいごとの旅【十津川村のゆべし編】レポート

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田舎の手仕事 ならいごとノート【十津川村のゆべし編】

learning traditional knowledge in rural Japan


最寄駅からバスでゆられること3時間。
平均年齢70歳、7世帯の住民が暮らす十津川の集落へ。1泊2日、てしごとならいごとの旅にいってきました。

冬至の日にみんなでつくったゆべしを本場、十津川のおばあちゃんちで食べ比べ。そして、ほんものの味を教えていただきました。
前回記事:二十四節気のてしごと会【冬至】ゆべしづくり


7世帯が暮らす内野集落

家庭によって違うゆべしの味

「餅米と、鰹節と椎茸、一味、そば粉を入れるとさらさらになるし、シーチキンとかシャケの缶詰を入れてもおいしい。味噌は、赤みそだと黒っぽく、薄いみそだと、色も薄くなる。」
マグロやシーチキン??山の中なのに。

「ゆべしは家庭の味だから、どこの家も受け継がれたものに、少しづつ自分なりの材料をたして変えていくもの。生クリームを入れるところもあるのよ。」

衝撃でした。


家庭の味はどこの文献にも出ていない。
みんなで想像しながら作ったゆべしも、ある意味ちゃんとしたゆべし。
地域によって、あるいは時代によっても違って当たり前なのでした。



「昔のゆべしは、みそにそば粉くらいだったから辛かった。豊かになって家にあるものを工夫して入れるようになったのね。」


60代のおばちゃんは平均年齢70歳の村では若手だ。
ゆべしの作り方も、昔に比べて進化していっているのでした。


まず、おばあちゃんのつくったゆべしと、
わたしたちがつくったゆべしを食べ比べてみました。


柚には、品種がいろいろとあって、私たちが以前つくったのは、小さい「花柚」というのだそう。色も薄い黄色でした。
今回、おばあちゃんが準備してくれたのは、直径5、6センチのオレンジ色した柚。トゲがない柚なのだそう。
ゆべし食べ比べ
白みそでつくったゆべしは皮も黄色いまま。
熟成味噌でつくった柚餅子は黒くなる。
時間がたつと、柚子と具が一体化していくのです。
これはまだ1ケ月ですが、3か月後のものは、皮との境界がわからないほどに!

「白味噌のゆべしは、柚の色がきれいでいいね!」
おばあちゃんにとっても、発見があったようです。



<作り方>

材料:椎茸、餅米、一味、ごま、マグロフレーク、砂糖、味噌、けずり節、ラッカセイ

餅米や椎茸をまず粉にするところから始まりました。

材料を練り、縦に長い筒状にしていきます。
こうしておくと、柚の中に入れやすいのです。



柚をくりぬくときは、なるべく、穴が小さく目立たなくなるように切る。
蓋はかならずセットでおいておく。


そして、いよいよ、蒸し。

具は膨張するので、6分目にしておくのがコツ。


蒸しあがりのゆべし

次の日の朝、蓋がぴったり合うように、出過ぎた具を出したり、
膨らみがたりない柚に具を足したり、調節しながら整形していきます。

こうして軒下につるために、釘がうってある
メンバーのさちさんが動画にしてくれました。


聞き書き、そして村の散歩へ


蒸している間、熊野古道の登山道入り口まで連れて行ってもらいました。
石畳の参拝道だと思っていたけど、想像以上に険しい熊野古道。
山を一つ越えるのに1日がかりです。

今回は、少し登山口から2時間、歩いてみただけでした。
熊野古道登山口


そして、夜、おそろいのちゃんちゃんこを着ながら、必死に書き留めるみんな。

おばあちゃんのお話を聞き書き中

夕食には、鯖の熟れ鮨が出て来ました。
「魚は、熊野古道を通じて、高野山からやってきた。」

高野山から熊野をつなぐ参拝ルート、熊野古道の人と食の往来は、山村集落の食文化を豊かにしていたのですね。




次の日は、谷むかいの集落におじゃまし、90歳になるおばあちゃんから、お話を伺いました。突然の訪問にも関わらず、あたたかく迎えてくれました。


おばあちゃんを囲んで

おばあちゃんちの菜園は急斜面!

ゆべし以外にも、縄を打って藁仕事をならったり、灰を炊いて灰汁を作る技術、茶粥の作り方を学んだり。


お庭のうこっけいは放し飼いで自然にひながかえる。一家に数軒、蜂さんのおうちが設置。蜂の家の方が人間の家よりもはるかに多い!茶粥のためのお番茶、香り米を作り続ける。
蜂のお家が至る所にあり、人間の家よりも多い!!
たくさんの学び、おみやげもたくさんもらいました。また通いたいです。
ワラをストックしてある納屋

藁打ちを教えてもらっている

この藁で納豆を作ってみよう!


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