2016年2月28日
大分の農家さんに学ぶ保存食づくり修業〜豆腐とこんにゃくづくり〜
消泡剤を使わない昔ながらの作り方で豆腐を作っているところ |
大分の農家で究極のスローフードを体験
温泉が豊富に湧き出る阿蘇くじゅう飯田高原の山中に、いまでも昔ながらの有機農業や保存食作りが学べる農家民宿があります。
築230年の古民家の農家民宿「おわて」では、年間を通じて食糧が自給できるようにと、合鴨の田んぼをはじめ、牛乳用の山羊、卵用のニワトリ、野菜用の畑と小規模多品目の生産をされていて、鶏だけで5−6種類、鴨に雉に、うさぎ、そして豆は10種類。囲炉裏のまわりにはずらりと保存食やら種の瓶がならびます。
WWOOFの受け入れもされていて、お手伝いをしながら、多岐にわたる百姓仕事を学ばせていただきました。
番犬ならぬ「番鳥」のがちょう。合鴨の群れにガチョウがいるとしめてくれるのだそう。堂々たる勇姿! |
何よりも、生活が豊かだと感じたのは、当たり前のように温泉がわいててそこらじゅうから煙がたってること。それぞれ源泉が違って、毎日違う源泉の温泉が楽しめるのも大分ならでは。大分に住んでみたくなりました!
ニワトリのえさは、温泉で地獄蒸しした大豆とはこべ、米ぬか。源泉は集落で共同で使ってて、自由に料理ができるのそう。ぜいたくなえさです。 |
牧草地は、共有地で、集落のみんなで春に野焼きするのだそうです。 |
全然スローではないスローフード
スローフードっていうけど、ぜんぜんスローじゃないんです。
何が忙しいって、生きるのに忙しい。
自家製麹からの味噌作り、こんにゃくの凝固剤になる灰汁づくり、豆腐を作るために、石臼で大豆を挽くところから始める。
今日は豆腐とこんにゃくを同時に作り、夜は甘酒。そして、朝夕は、鶏の餌もつくる。それだけで一日仕事です。しかも、消泡剤を使わない豆腐は数日しかもたないのでなくなったらまた作らないといけません。
百姓仕事がある農繁期には作る暇はなく、豆腐やこんにゃくが食べられるのは、祭りとかお祝いとかハレの日だけだったのだそうです。今や、年中食べられるものですが、これほど手間がかかっているものですから、それもそのはずです。
山中の集落では自給できない塩やにがりも友人が作っているものだといいます。
これまで、いろんな山村の村を取材して来ましたが、これほど徹底した昔ながらの作り方を今でも続けられているところはそうありませんでした。
これまで、いろんな山村の村を取材して来ましたが、これほど徹底した昔ながらの作り方を今でも続けられているところはそうありませんでした。
今日は豆腐とこんにゃくを同時に作り、夜は甘酒。そして、朝夕は、鶏の餌もつくる。それだけで一日仕事です。しかも、消泡剤を使わない豆腐は数日しかもたないのでなくなったらまた作らないといけません。
石臼で大豆を挽いているところ |
「科学の力を使えば安定するじゃろ。でも生きてるものは毎日違う。木も灰も芋も生きてるものだから。」
こんにゃく芋も生きているものだから、灰汁を入れる分量は、いつ採れたものか、どんな土で育ったものか、砂地なのか、粘土なのかによっても違ってくる。おくどさんに使う薪は何を炊くかによって木の種類を変える。
臼もそう。どんな臼を使うのか、臼にもいろんな臼があって、何を挽くかで使い分ける。粉挽き臼と、水挽き臼があって、水挽き臼は、生絞り豆腐の大豆を豆乳にするときに使う。動物の肉にも牛乳にも旬があって、季節によって味が変わる。山羊の乳は臭いというイメージだけど、青草を食べる夏は臭いが、干し草を食べる冬は香ばしい香りがする
「もちつき、みそつき、こんにゃくつき。昔は、搗くといった。」
それも、いまはフードプロセッサーで一瞬でおわる仕事。簡単に手に入ったり、安定する消泡剤や水酸化ナトリウムを使えばすぐにできるかもしれない。
でも「科学のちから」をつかったものにはない味がある。生きているということは、変化するということ。移ろいの中で生きているからこそ、うまく行く日も、行かない日もある。
固まるこんにゃくをかき混ぜるのもひと仕事。
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おくどさんで一時間ほど炊く。 |
そんな忘れかけていた大事なことを気づかされました。
あられを炒ってるところ |
黒米、よもぎ、シソのあられ |
「何年やっても、新大豆だったり、新しい灰を使う時はまたやってみないと出来はわからない。」
ぜんぜんスローじゃないけど、やってみないとわからなくて、変化するからこその味がある。いろんなものがなくなっていく時代に、この味に出会えて幸せだったなあと思うのでした。
アクセス
農家レストラン・農家民宿「おわて」〒879-4911 大分県玖珠郡九重町大字田野321
ホームページ https://owate.jimdo.com/
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