2017年4月24日

ならいごとの旅 in 台湾(9)ふくろうの森と藍文化の復興

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「1匹のふくろうのためにここに森を買いました。」

卓也小屋は苗栗三義の山奥にひっそりと佇むこの世界から忘れられた山荘。
三義駅からは公共交通がなく、タクシーで山を登ること20 分。そこには堆肥を使った有機農業、大陸から伝わる客家の藍染めの服作り、多くの生命を育む水源、自然生態と調和した暮らしがありました。温かく、懐かしい伝統的な農村を彷彿とさせる桃源郷が広がります。




鄭オーナー夫妻が一匹のフクロウに出会い定住することになったというこの土地は、実はふくろうだけでなく、鷲やかえるやトンボ、斑鬥魚(タイワンキンギョ)、蛍、蝶などたくさんの生命が満ちた天地でした。

水源を中心にデザインされた空間には、様々な植物や生き物に出会います。
園内地図

特徴は藍染め。受付の隣りの作業小屋では、沈殿藍の壷があり、常にだれかが藍染めをしていて、ビジターもワークショップに参加することができます。
藍染めの工房
体験コーナー
藍染めの加工過程

客家と藍染め文化

苗栗や美濃に多く居住している客家は、もともと中原に住んでいた民族で、知識人が多く、騎馬民族に追われて南下、広東省に移りすんだものの、シンガポールや東南アジア、台湾へとちりぢりに。台湾にも数百年前に移住の波があったといいます。ジプシーのように各地を転々とする「客人」の意味を込めて「客家(ハッカ)」とよばれているそうです。

故郷を転々としてきた客家ですが、独自文化へのアイデンティティーは強く、藍染めも客家の伝統文化のひとつ。台湾では、1850年から1905年は第3の輸出品目だったというほど、藍産業は栄えていたそうです。

日本の蓼藍とちがって、台湾の藍は、大藍、山藍ともよばれる大きな葉の品種。


いまや化学染料におきかわり、藍の生産量は劇的に減りました。ここの農場では、藍の生産から沈殿藍への加工、色の研究、デザイン、服作りまで取り組んでいます。

大地を傷つけない天然の藍染めによる文化芸術と産業の再興をめざし、いまや、卓也小屋の職員は50人にのぼるといいます。


山荘を散歩していると、偶然であった鄭さんに、普段公開していない研究所の中を案内してもらいました。
藍の農場


藍以外の植物を活かした天然染料の研究も
研究所では、藍の生産加工だけでなく、レストランで使う食材の生産加工も担います。
農場には、有機野菜や果物、ハーブの栽培をはじめ、にわとりもいました。

レストランで使う食材の加工
農場
ニワトリ小屋

散歩小道の脇には藍が植えられています。


堆肥作り

池の側に佇むレストラン

ランチは、セミバイキング方式で、農場で生産・採集された野菜をはじめ、伝統的な家庭料理を再現したメニューが並びます。



鍋の具材はバイキング方式。



サボテンのデザート

一棟貸しの古民家宿もあり、工房で製造された藍染めをあしらったインテリアが特徴的です。


ショップの展示コーナー

鄭美淑さんの藍についての想いが書かれた本
「又見一抹藍:大菁藍手10年記」上旗文化出版、2016年

台湾藍についての専門的な資料はこちら。



<レストラン>

大人:499元
小人、幼稚園:200元
幼稚園以下:120元

営業時間:
ランチ 平日11:30〜14:00
休日 ‧第一階段11:00〜12:40
   ‧第二階段13:10〜15:00
ディナー17:00〜20:00
電話番号:(037)879-198

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